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岡潔の言葉 ( その8 )  [岡潔]


春宵十話 (角川ソフィア文庫)

春宵十話 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 岡 潔
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
  • 発売日: 2014/05/24
  • メディア: 文庫


 留学の決まったとき、 フランスを希望したところ、 文部省はドイツへ行けといった。 当時、 私が会いたかったのはソルボンヌの教授だったガストン・ジュリアで、 ドイツにはだれもいなかった。 それでどうしてもといってフランスに決めてしまった。 だれに会うというので留学するのだから、 よその国ではだめなのに、 文部省はそんなこともわからなかったらしい。 これも 「 人 」 というものが忘れられている例で、 どの人がしゃべったかが大切なのであって、何をしゃべったかはそれほど大切ではない。 「春宵十話」 ( 情緒と日本人 178頁)

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岡潔の言葉 ( その7 ) [岡潔]

  いま、 たくましさはわかっても、 人の心の悲しみがわかる青年がどれだけあるだろうか。 人の心を知らなければ、 物事をやる場合、 緻密さがなく粗雑になる。 粗雑というのは対象をちっとも見ないで観念的にものをいっているだけということ、 つまり対象への細かい心くばりがないということだから、 緻密さに欠けるのはいっさいのものが欠けることにほかならない。   「春宵十話」 ( 情緒と日本人 153頁)
 ※文美禄: 大学生による不祥事・悲劇が度々繰り返されるが、昨今のテレビ・マスコミ、あるいはゲームの世界の、生きることへの緊張感や誠実さといったものが欠如している状況が根底にあると思われます。 このブログで 「 岡潔の言葉 」 を中心に掲載しているのは、 「 家庭及び学校における教育 」 のあり方を、根本からそして早急に変えていかなければ、 「日本は滅亡する 」 という思いからです。
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岡潔の言葉 ( その6 ) [岡潔]

 古都の秋の日射しのわからないものに、 真美善といってみてもチンプンカンプンである。 真とは嘘でない、 間違っていないということではなく、 善とはよいということではなく、 美とは美しいということでは決してない。 人が追い求めてやまないもの、 知らないはずだのに知っているような気のするもの、 なつかしい気のするもの、 である。 それがわからねば、いにしえの斑鳩の里に来て、秋の日射しでも見ることだ。
  「夜雨の声」 (ロケットと女性美と古都) 78頁 角川文庫
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岡潔の言葉 ( その5 ) [岡潔]

 日本において善行といえば、人のためにする行いであった。 自己のためにするという匂いが少しでもすれば、日本人はそれに対して、 実に敏感であった。 潔癖であって、 決して善行とは認めなかった。 自分はエゴイステックにふるまっても、人に対してはそうであった。 終戦までそうであった。    「岡潔集」(第五巻) ( 情緒と日本人 16頁)
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岡潔の言葉 ( その4 )  [岡潔]

 私の友人の秋月(康夫)君が、ある若い数学者に 「 君のクラスにはよく出来る人が多いが、なぜだろう 」 と聞くと、その男は 「 それは先生がいなかったからです 」 と答えたということです。    「紫の火花」 ( 情緒と日本人 179頁)
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岡潔の言葉 ( その3 )  [岡潔]


風蘭 (角川ソフィア文庫)

風蘭 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 岡 潔
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
  • 発売日: 2016/02/25
  • メディア: 文庫


 幼稚園の子どもの中にも、まれに花の美しさのわかる子がいるのです。
 その子にだけなぜわかるかというと、その子はほかの子どもよりも花に注意を集めることができる。 心を花のところに集めることができる。
 そこだけがちがっているのです。   「風蘭」 ( 情緒と日本人 「 情緒 」 147頁)

 するとその尼さんはすぐにわかって、次のようなおもしろい例を聞かせてくださった。 幼稚園の子供たちにはまだ花の美しいことはわからない。 しかし、一人だけわかる子がいる。 その子はよく私になついていて、私が花を植えるとそれを手伝う。 花がつぼみをつけて少し色が見えてくると、すぐに見つけ、大騒ぎをして知らせにくる。 花が美しいこともよくわかっているのである。 しかし、ここへはときどき娘さんたちがお花を習いにくるが、その人たちには花の美しさはわからない。  「夜雨の声」 やうのせい 12頁 角川文庫
      ( 尼さん : 真言宗の園長さん・本尊は観音さま ) ※文美禄注釈

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岡潔の言葉 ( その2 ) [岡潔]


情緒と日本人 (PHP文庫)

情緒と日本人 (PHP文庫)

  • 作者: 岡 潔
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2015/04/03
  • メディア: 文庫


 たとえば、すみれの花を見るとき、あれはすみれの花だと見るのは理性的、知的な見方です。 むらさき色だと見るのは、理性の世界での感覚的な見方です。 そして、それはじっさいにあると見るのは実在感として見る方法です。
 これらに対して、すみれの花はいいなあと見るのが情緒です。 これが情緒とみる見方です。 情緒と見たばあいすみれの花はいいなあと思います。 芭蕉もほめています。 漱石もほめています。  「風蘭」 ( 情緒と日本人 14頁)


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岡潔の言葉 ( その1 ) [岡潔]

「日本人は親切で勤勉であればよろしい。 親切というのは、人のこころ、わけても人の悲しみがわかることです。 勤勉というのはたとえば、あなたがたが算数をやるとしますと、算数を熱心にやることです。 できふできではありません。 親切で勤勉な人がえらい人なのです」
  岡潔 「夜雨の声」 153頁  ( ふるさとを行く 週刊朝日 1966/11/25日号 )
        母校を訪ねて、四・五・六年生に話した言葉
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