渡部昇一の言葉(その3) [渡部昇一]
『 露伴の幸福三説 ③ 植福
』 最後に、植福です。惜福にしろ、分福にしろ、今、生きている人の話です。ところが、植福は今生きている人がいなくなった将来の話です。
たとえば、ここに大変いい実のなる柿の木があったとします。それをすぐに食べてしまわないで、残りは干し柿にして少しずつ食べる。あるいは自分だけで食べないで、みんなに分ける。これは惜福、分福です。ところが、子孫のために柿の木を植えようとする人は、自分がその恩恵に与かることは絶対にないことがわかっていてやるわけです。これが植福の精神です。
( 渡部昇一 一日一言 1月11日 )